やっぱり。いっつもふざけてみんなに、主に蝶野のおもちゃにされてばっかりいるけど。 ちゃんとみたらかっこいいんだ。横顔を眺めてて、フと思った。
 たまに思う。もったいないなあ、って。 こいつは、こんなどうしようもない奴のことなんか好きにならなけりゃ、相手はいくらでもいたのに。 それも、誰が見てもかわいくて、性格のいい、女の子の相手が。

「…なしたん、茶野。そんなみないでくれる」
「うんー…?」

 笑うときも、なんだかやさしく、ふわっと笑うんだ。今気づいた。 こいつのこういうところが、女の子にモテるところなのかな。だけど。…なんで。俺に向かってそんな顔できるのさ。

 俺だったらとてもいられない、上辺で笑って、ごまかして。
 正面から向き合うことなんてできない。
 相手の気持ちを知ってて、そこから踏み込もうなんて思えない。
 こんなのの相手、するだけ、無駄なのに。
 俺はひとつも、なくしたくない。
 今もっているものを、手放せる強さが、俺には、ない。
 友達としてのこいつも、あの人を好きな気持ちも

 知っていてそれで、すきでいてくれるんだろう、と思う。 全部わかって、それでも、尚。 ああなんて強さだろう。どうして、俺に向かってそうやって笑えるんだろう。
 …ばかだよ、一番、ばかなのは、お前だ。自分で、そうやって一番辛い立場にいて。 なんでもないように笑って、人のことばっかり気にかけて。
 ばかだよ。

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