ずっとこのままでいられたら、そう思う。心から、そう思っている。
だけどその一方で、このままじゃだめなんだ、とも思う。心から、思っている。
俺のすきなひとには、別に、俺じゃないすきなひとがいて。
つまり片思い、ってやつなんだけど。だけど、俺のすきなひとのすきなひとにも、別にすきなひとがいる。
片思い連鎖とでもいうのかな。どろぬま、っていう表現がいちばんわかりやすいかな。
「茶野、どこみてんの」
「…んー、そと」
ほんとは、知ってる。いつもみてるから。どこを、誰をみてるかなんて、すぐわかる。
少し笑って、手をふる先には、いつも同じ、顔、同じ、人。
それを、どんな気持ちでみてるかも、俺にはわかる。同じだから。同じ気持ちでいるから。
気持ちが、わかってしまう分、倍痛くて、倍辛い。
そしてその気持ちを、茶野も感じているんだろうな。
受け入れられない俺からの気持ちは、邪魔だし、重いし、だけどあいつは、優しいから、…無視、できない。
俺は今の”みんながなかよし”な毎日が気に入っていて、
だけどそんな毎日はいくつもの爆弾をかかえているのも知っている。
誰かが一歩踏み出せば壊れてしまうような毎日を、過ごしている。
脆い、日常。脆いから、貴い。いつまでもつづいてほしいと、思う。
だけど、変わってほしい、ちがう、変わらなきゃいけない。
誰かが我慢してつくられてる関係なんて、正しくない。
いま、正しいか間違ってるかなんて、そんなの誰にもわかんないかもしれないけど。
俺は、そう思う、よくないんだ。ただしくない。
自分をすきになってくれる人を、すきになれれば、それが一番いいのに。
簡単に、諦めのつく程度の気持ちだったら、よかったのに。
まるでみつからない迷路をさまよっているような、そんな気がしていた。